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台湾有情 後編

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 ホテルに戻り、フロントで訊ねてみると既に先ほどの所長さんからメッセージが届いていた。 まさか?と一瞬狂喜しかけたが、内容は「まだ一人連絡の取れていない運転手がいる。 引き続き連絡を取り追って連絡する」というもの。 わざわざ途中経過まで連絡をくれるとは・・・。 少なからず感動を覚えながら部屋に戻り、クレジットカードを止める連絡に没頭。 直近の利用履歴を確認してみたが幸いなことにいずれのカードも不正使用の形跡はなし。 某クレジットカード会社の対応には憤りを通り越して呆れ返ったが、なんとか無事手続き完了。 実質的に失ったのは日本円にして二万円ほどと台湾ドルで三千元ほどの現金、そして何よりも限りある台湾での貴重な時間である。 すべては自らが撒いた種。 一方でこんなことでもなければ接する機会すらなかったであろう親切な台湾の人々。 そう考えると財布を落としたことすらあまり凶事とばかりも言えないのかも知れない。
 カードを止める連絡を済ませたことで自分の中では完全にこの事態を消化した。 いつまでくよくよしていても財布が戻ってくる訳でなし。 気分を切り替えてホテルから徒歩圏内の小龍包が評判の店に行くことにした。 台湾ビールに小龍包、豆苗の炒め物、海鮮炒飯で空腹だったお腹を満たした頃には財布を落とした時の落胆はだいぶ薄らいでいた。
 さすがに意気揚々というわけではなかったが、それでも美味しいものを食べていくらかは救われた気分のなかホテルに戻った。 すると、僕を見つけたフロントのスタッフが満面の笑顔でこう言うのである。

 「ミスター◯◯◯◯(僕の名前)、財布が見つかったそうですよ!」
 「マジですか!?」
 「はい、中にはお金やクレジットカードも入っているそうです」
 「本当に???(あまりの展開にしばし呆然) やっぱりバスの中にあったんですか?」
 「そうみたいです」
 「・・・それで僕は何処に財布を受け取りに行けばいいですか?」
 「バス会社の人が明朝10時にここに届けてくれるそうです」

 訊けばバス会社から財布発見の連絡があったのは午後10時頃だという。 彼らはその時間まで僕の財布を探してくれていたのだった。 しかも本来ならこちらが取りに伺わなければならないところ、わざわざこちらに届けに来てくれるという。 事態の急展開に戸惑いながらもたびたびバス会社からの連絡を取り次いでくれたフロントのスタッフに礼を言い部屋に戻った。
 翌朝。 バス会社の人が来たら部屋に電話してくれるようにフロントに頼んでいたのだが、なんだか申し訳なくて早めにロビーで待つことにした。 ほどなく現れたのは僕の財布を手にした昨日の所長さん。 僕は弾かれたようにソファーから立ち上がり、最敬礼して長々とお礼の弁を述べ、ついでに発見時の状況について伺った。 所長さん曰く、あのあと僕が財布を忘れたバスの運転手と連絡がつき、車内を探してもらったところ見つかったとのこと。 中身を確認してみたが、何一つ失くなったものはなかった。 これはもうちょっとした奇跡である。 いや台湾においてはたぶん奇跡なんかではないのかも知れない。 でもその時の僕にはほとんどそれは奇跡のように思えた。
 僕はホテルの封筒に忍ばせたわずかながらの謝礼を所長さんに渡そうと試みた。 しかし所長さんはそれを頑なに拒んだ。 そして僕にこう言った。

 「財布が見つかったことであなたはもっと私の国をいろいろ見て回ることができるかも知れないし、それは私にとってもとても嬉しいことです。 私は単に職務としてあなたの財布を探したに過ぎず、そのことで謝礼を貰うことはできません」
 
 もはや彼にこれ以上謝礼を渡そうとすることは彼と彼の職務を侮辱するに等しい。 僕は彼に封筒の代わりに自分の名刺を渡し「もしあなたが日本に来て何か困ったことがあったらいつでも連絡して欲しい」と言葉を添えた。 後から思えば「もっとこうしていれば良かった」というのはいろいろあるが、その時はそれぐらいしか思いつかなかった。
 次の日、出先からホテルに戻る際にタクシーを拾った。 クルマがホテルに着く直前、ドライバーは道を間違えて小さな路地に入り込んだ。 こちらが「あれ?」と思ったとほぼ同時にドライバー氏も道を間違えたことに気づき、路地をクランク状に回ってすぐに元の道に戻り、すぐにホテルに着いた。 料金は110元。 こちらが払おうとすると、ドライバー氏は「100元で結構です。 道、間違えちゃったから」と言う。 日本で同じ事があった場合、タクシーの運ちゃんはどうするだろうかと思わずにはいられなかった。
 これらバス会社の所長さんやタクシードライバー氏から感じるのは、彼らの職業意識の高さと「公」の精神である。 元を辿ればこれらはかつてこの地を統治した日本によって植えつけられたであろう「日本精神(リップンチェンシン)」であり、それは今もこの台湾の地に色濃く息づいている。 翻って「御本家」であるはずの今の日本はどうだろうか?
 高山正之氏の著作で、日本で流行ったオレオレ詐欺が台湾でも流行っているということについて書かれていたのを思い出す。 オレオレ詐欺が流行るのは日本のように性善説をベースに成立している社会でしかありえず、故に台湾でも流行るのだとあった。 つまり最初から人を疑ってかかる特定アジア、具体的には中韓朝の国々でオレオレ詐欺は流行らないのである。 日本もまだオレオレ詐欺が流行っているうちが華。 あらためて一期一会の気持ちで他人と接しようと思い直した僕であった。
 麗しの島、フォルモサ、台湾。 行ってきたばかりなのにもう次の旅程をたててます。(^o^)

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台湾有情 前編

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 眼下に微かに見えるかもしれない。 そんな淡い期待は分厚い雲の前に霧散した。 日本固有の領土、尖閣諸島。 その姿はまったく目にすることができなかった。 数十分後、僕を乗せた航空機は雨中の台北松山空港に降り立った。

 遅ればせながらあけましておめでとうございます。 伊達直人と菅直人、同じ直人でもこうも違うものかと慨嘆する今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。 あ、後者は「ナオト」じゃなくて「チョクト」でしたねw 失礼しました。 そんなわけで、2011年最初のエントリーも前回同様いつもとは違った趣きで始めたいと思います。
 今回の滞在は、管理人がやらかしたとある失態がきっかけで台湾の人々の優しさに接する旅となりました。 そこでこの体験をみなさんと共有したいと思い、いささかプライベートな内容ではありますが記憶として残しておこうと思います。 いつも以上に退屈な内容かも知れませんが、ご興味がおありの方はお読みいただければ幸いです。

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